先頃、定番の2時間スペシャルで幕を閉じた「相棒」

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2時間スペシャルの場合は、重厚で世の中の不条理に切り込んだり、大掛かりな仕掛けを用意していたり、過去の大物が出てきたり・・・と特別臭ぷんぷんする場合が多いのだけれど、今回はかなりライトな仕上がり。

それもこれも、杉下右京(水谷豊)の推理がここ一年ほど冴えていないと心配した冠城(反町隆史)が、元相棒である神戸(及川光博)から「不調の影に花の里の存在あり」との噂を聞きつけたから。

以前も右京の元妻であるたまきが営んでいた「花の里」が、彼女の都合で閉められることになった時、右京の様子がおかしくなった。体調が優れない右京は、いつもと違うこと、あるいはいつもしていたことをやめたからだとの助言に従い、その時ある事件に巻き込まれ再会することになった元犯罪者月本幸子(鈴木杏樹)を花の里の次の女将にと推薦する。

ただこの幸子も、様々な事件に遭遇するたびに心を痛め、ついには女将以外の道を模索することになり、店は再びクローズ。

今回冒頭から、妙な薬を盛られて行方不明になったり、「ボクとしたことが!」のうっかりの時の定番の発言を何度か聞いたとまるでこの半年間を振り返るように冠城が右京の不調を心配する。ただ当の杉下右京はどこ吹く風で、捜査に圧力がかかるような重要事件に勝手に首を突っ込んでいく。

今回は事件の全体像よりは、第二の「花の里」誕生!というのが主だったテーマだったように思えます。

右京が足しげく夕食と酒を楽しむために立ち寄る小料理屋「花の里」。いつもカウンターに座り、相棒と2人で事件について話したり、時には女将さんにヒントをもらったり、右京にとっては意外と大切な場所。

今回初代の益戸育江、二代目の鈴木杏樹に続いて右京の憩いの場を提供する女将となったのは森口瑤子。

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今回の事件の鍵を握る人物の1人、官房長官が熱心に指名していた人気の芸者で、引退してから小料理屋「こてまり」を開く、小出茉梨という役柄で登場。
財界の著名人を顧客に持ち、百戦錬磨であの甲斐峰秋(石坂浩二)からも信頼される元芸者。

そんな人が小料理屋を開いて、右京さんたちが事件のことを気安く語れるような静かな店になるとは到底思えないけれど、店の作りも花の里に似ていたし、きっと三代目女将として加入したと見ていいでしょう。
その豊富な人脈と知識が、今後の事件に大きく関わってくるのかも?

事件のストーリーについては、技術の目覚ましい進歩が事件解決を遅らせた「近い未来の犯罪」がテーマ。証拠能力の高い映像の信頼性が揺らぐ、怖い話ではありました。
ただ・・・動機がそれにしてはやや貧弱で、せっかく坂井真紀さんに出演してもらったのに、飄々としたキャラクターと事件の真相との絡み具合がちょっと消化不良。

女は嫉妬するもの、というのも短絡的だったかな。

情報を巧みに出したり隠したりしながら、右京を事件解決へと導く役割だったのが、広報課の社(仲間由紀恵)。ここのところが少し混乱しましたが、一貫した社という人物の深みで片山雛子(木村佳乃)と別の意味で息の長いキャラクターになりつつあります。
彼女も「私としたことが」と堂々と言い放てる自信がある。

いろんな意味で新しさもどんどん取り入れている「相棒」。
次のシーズンも安定の10月スタートになることを祈るばかりです。 


そういえば、ネットなどでは女将の呪い、として歴代女将である益戸育江と鈴木杏樹の受難を挙げ、次の森口瑤子が心配という声も上がっているよう。
本人からしたら「ほっといて」でしょうけれど、そういう意味でも注目の三代目女将デビュー話でした。