映画「リバーズ・エッジ」を観ました。2018年日本。


若草ハルナ(二階堂ふみ)は、彼氏の観音崎からいじめられている山田(吉沢亮)と話すようになり、山田の秘密を共有することになる。
「ぼくの宝物」と言って見せられたものは、河原に放置された遺体。同じくそれを共有する女子高生モデルのこずえ(SUMIRE)と仲良くなったハルナはイライラを募らせ、感情の爆発を抑えられない同級生たちに押されるように自分の形や居場所を意識するようになる。

岡崎京子の同名漫画が原作のこちら。今回監督されたのは、行定勲さんです。
さすが、余韻と情感たっぷりの画面からは、匂うような若者のイラつきや内包する生々しい感情などが立ち上ってくるのですが、やっぱり個人的には同じく岡崎京子作品「チワワちゃん」を映像化した二宮健監督ならどう描いたかなーと思いながら見てしまいました。

こう言った普遍的な漫画を何人かの監督が映像化すると言う試みはなんか楽しそうだし、やってほしいなー。短編でいいのだけれど。


冷めたところがあるけれど、普通の感覚も持っている女子高生を二階堂ふみちゃんがすごく艶っぽく演じていますし、何と言ってもゲイであることを隠し裏では売春をしながらも、同級生たちから標的にされ陰湿ないじめに遭う美少年山田を演じた吉沢亮さんが素晴らしい。
光と陰の中で性的マイノリティによりなぜか弱者にさせられてしまうけれど、その中にはしっかりと芯があって揺らがない、そんな強さと美しさを見事に演じていました。

そして、浅野忠信とCHARAの愛娘であるSUMIREちゃん。華々しくモデルとして活躍する女子高生役ですが、その裏の顔は大量に食べた後で吐くと言う重度の過食症に侵されている役柄。
おそらく浅野忠信の血かなという薄い色の瞳と、CHARAさんそのものの愛らしい顔立ち、アンバランスな魅力があって、たどたどしい台詞回しもちゃんとキャラクターとして立っていました。

これは配役が見事にハマったなと思える作品でした。
岡崎京子さんの漫画って本当にすごいんですね、何年も前なのだけれどそれを現代に置き換えても何ら問題なく進んでいく。
それは、作品の中で描かれているのが「年齢特有の感情」だからなのかもしれません。流行りに敏感なところにいても中身はさほど変わらない、それが人間の妙なのでしょうか。







蜷川実花が監督をした岡崎京子作品「ヘルタースケルター」は色鮮やかに悲しい現実を描いていました。