映画「ユリゴコロ」を観ました。



沼田まほかるさん同名小説が原作のこちら。小説は読んだことなかったので、内容は分からず観ましたが、非常に気持ちが揺さぶられる問題作だなと思います。


涼介(松坂桃李)は実家から一冊のノートを見つける、そこには女と思われる殺人の告白が綴られていた。
その女、美紗子(吉高由里子)は幼い頃から人と違う感覚に自分で戸惑い、周囲に馴染めずにいた。
医者が言い放った「よりどころ」を「ユリゴコロ」と認識し、自分の中のそれを探す日々。それはやがて、人を殺す、ということで満たされると自覚していく美紗子。
何となく人生を進み、そこで出会う人たちにユリゴコロを追い求める美紗子。終わりのない旅かと思われたところに突然、欲望を失った男(松山ケンイチ)が現れる。男の無償の優しさに惹かれた美紗子はやがて一緒に暮らすことになるが、美紗子は過去に絡め取られ、未来を脅かされることになる。


当初から主人公に共感できず、苦しい時間を過ごしました。
それはそのまま美紗子の生きづらさに繋がっていくのかもしれませんが、彼女そのままに見返りを求めない男に惹かれていきます。
その存在につかの間の幸せを感じた美紗子だったけれど、その平穏は彼女自身ではなく外側からボロボロと崩されていく。それは彼女自身の過去に由来するもので、彼女はその運命の渦からは抜け出せず、またその運命は皮肉な結末をもたらす。

少し偶然が重なりすぎかな、と思われる部分もありましたが、一人の女の人生ストーリーに、心の空虚を抱えた涼介が没頭していく様は狂気のようでいて自然のような、不思議な時間の行き来でした。

内側に抱えた問題をどうすることもできずにただ孤独になるしかない、そんな生きづらさを抱えている人は大なり小なりいるのではないでしょうか。

どこの国とも分からない、美味しいか不味いか判断のつかないフルコースを食べているような感覚で最後まで違和感と戦いながら観ました。
誰と、というよりも一人でひっそりと観たい映画です。 

ユリゴコロ (双葉文庫)
沼田 まほかる
双葉社
2014-01-09



ユリゴコロ
吉高由里子
2018-04-04