映画「オーバーフェンス」を観ました。2016年日本。



東京から函館に戻り、職業訓練校に通うバツイチの白岩(オダギリジョー)。何の目的も目標も持てずに、日々を漫然と過ごしていたところに、学校の同期である代島(松田翔太)から誘われたスナックで不思議な女(蒼井優)と出逢う。
互いに惹かれ合いながらも傷つけ合う2人、白岩は心の中にあるわだかまりと向き合い、前に進むことができるのか。


職業訓練学校に通う男たちは、大工の訓練を受けながらも何となく過去に引きずられ、どうしようか、何になれるのかと迷いうろついている面々。
年齢も生い立ちも違う男たちが、ダラダラと何ともない会話を日々交わす様子がすごくナチュラルで、学校と社会の狭間にいる中途半端な立ち位置がよくわかります。
白岩はその左薬指のリングを戒めとして、折り合いがつかない自分に苦しんでいる。
そんな白岩と出会った女は、自由奔放で頭空っぽな装いをしているのだけれど、壊れている自分を持て余している。2人が一線を越えた時、どうしても立ちはだかるものが出てきたことで、白岩はようやく自分と向き合う決意を固めるのだったが。

最後は爽快なシーンで終わるのだけれど、決して楽ではない未来をかすかに祈りたくなるお話でした。壊れている人よりも、人を壊す方が何倍も怖い。確かにそうだなと思えます。

中でも最年長でどこか飄々とした訓練校の同期の男勝間を演じた鈴木常吉さんがいい味出してました。注目です。

オーバー・フェンス
オダギリジョー
2017-05-24


この映画も佐藤さんの原作だったんですね・・・




そこのみにて光輝く (河出文庫)
佐藤 泰志
河出書房新社
2011-04-05