映画「at Home  アットホーム」を観ました。2015年日本。

和彦(竹野内豊)は、息子2人と娘が1人、そして美しく明るい妻(松雪泰子)とで一軒家で仲良く暮らしている。
ただ、和彦の職業は空き巣、そして母親もまた男を騙してお金を巻き上げているのだった。
そう、和彦たち家族は寄せ集め。他人同士だった5人は偽りの家族として幸せな日々を手に入れたのだったが、ある日それを揺るがす事態が起きる。




本多孝好さんの同名小説が原作のようです。

家族で食卓を囲むシーンが始めに描かれるのですが、それはもう不自然なほどに皆が素直に家族の一員として明るく好意的に接している。
本物の家族ではないからこそ、余計にそのコントラストが胸に迫り、偽りだからこそ大事にしているという痛々しい気持ちが伝わってきます。
和彦始め、集まってきた家族はそれぞれの「本物の」家族とはうまくいかず、手放さなければならなかった人ばかり。行き場を失った彼らは、だからこそ家族のありがたみが身にしみている。

いびつな関係性ではあるのだけれど、他人同士が2人集まって、そこから作って行くという家族の本質をついた話なのかもしれません。

中でも、和彦の刑務所の時代の仲間であるゲンジ(國村隼)が仕事について言う「どれだけ本物に近づけるかということではない、どれだけ自然に見えるかなんだ」という言葉が、この物語の核となって家族のあり方を問いかけます。

痛々しい松雪さんがとてもいじらしくていい。

ただ・・・吉本が制作に絡んでいるからか、肝心なキャストが芸人さんだったのがちょっと興ざめしちゃいました。もうすこし没個性な人の方が物語に集中できたかな・・・

at Home (角川文庫)
本多 孝好
角川書店
2013-06-21



at Home [DVD]
竹之内豊
よしもとアール・アンド・シー
2016-01-27