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2018年12月

映画「岸辺の旅」

黒沢清監督作品、浅野忠信・深津絵里主演の映画「岸辺の旅」を観ました。2015年日本。



瑞希(深津絵里)の前に、3年前に失踪した夫である優介(浅野忠信)が現れる。ただ彼はもう自分は死んでいると告げ、「この3年間でお世話になった人に会い、美しい風景を見に行くから一緒に行こう」と旅に誘ってきた。戸惑いながらも瑞希は夫との旅に出ることにする。
そこで出会った人たちは、いずれも「死」を心の中に大きく抱えている人たちばかり。
優介と過ごし、その人たちのエピソードに触れるうちに瑞希は優介との別れを悟るのだった。


突然失踪した夫を手を尽くして調べ上げ、ついにはなすすべもなく待ち続けるしかなかった瑞希はその姿を見るなりすぐ、優介の帰りを受け入れる。「死」という半ば覚悟した結末を告げられた彼女は、言われるがままに姿形はそのままの夫に導かれて旅をする決意をした。
彼の意外な一面を垣間見るたびに、彼への愛情を確認する瑞希。
どんな形でもいい、このままずっと一緒にいたい。
そんな思いを断ち切らせたのは、彼から紹介された人たちとの触れ合いだった。

瑞希が、現実に馴染めずに日々を漫然と暮らす横顔から一転、彼に導かれる旅先でいろんなことを受け入れ、そこで思うがままに過ごすことで徐々に自分を取り戻していく。
これを観て思うのは、死というものに対して時間が必要になるのは生きてこれからの人生をまだ辿っていかなければならない人たちのほうで、未練という名で曖昧な世界に居続ける人たちはその想いに影響されているに過ぎないのかもしれない、ということ。

別れを受け入れる時間が瑞希には必要だった、それに応えるように優介は様々に、別れを知るのに必要な出会いを探して歩いていた。それは勝手なことをしてしまった優介の、最後の思いやりなのかもしれない。

瑞希と対峙する、優介のかつての愛人朋子を演じた蒼井優の存在感がすごい。
あんな風に言われちゃったら、妻は打つ手なし、なのだろうなぁ。強い女はいいけれど、怖い女は嫌だ。これ本心(笑)

岸辺の旅
深津絵里
2016-04-15



岸辺の旅 (文春文庫)
湯本 香樹実
文藝春秋
2012-08-03


映画「バレットバレエ」

塚本晋也監督の作品「バレットバレエ」を観てみました。世界でも評価される塚本監督の作品、実はあんまりみたことないんです・・・。2000年日本。

 







合田(塚本晋也)は恋人を銃自殺という衝撃的な方法で失ってしまってから、喪失感と虚無感にかられる毎日となった。そんな時に不良グループと出会いいわれのない暴力と遭遇したことで次第に「銃を手にいれる」ことに執着していく。
その不良グループにいる若い女千里は死を切望しているように、いつも冷めた目で時代を殴るように生きていて、合田は女にとりつかれると同時に不良グループの抗争にも巻き込まれ、そこから生への希望を見出していく。


モノクロームの映像、コマ送りの荒い場面展開、ただ無防備に生きていく若者たちと、生きる意味を見出せない空っぽの中年男。
それらが絡まり、殴り殴られていくうちに死というものがはっきり、不気味に浮き上がってくる。

男は恋人の死を受け入れられず、その死を招いた「拳銃」に次第にその意味を求めていく。生も死も突然やってきて突然果てる、そこにははっきりとした意味やメッセージなどなく、ただひたすらに空っぽの自分を確認していく。

世界観が確立されていて、やや難解な部分はありつつも突き詰めて考えるのではなくて、何となく感じればいいのかなと思える映画でした。

乱暴に芸術的な作品に触れたいときにはオススメです。

映画「火花」

又吉直樹さん原作の小説がベストセラーになった作品を板尾創路で映画化「火花」2017年日本。



徳永(菅田将暉)と神谷(桐谷健太)は大阪からそれぞれの相方と上京し、芸人としての夢を掴むため日々奮闘している先輩後輩。
神谷は一般受けしないが自分の好きなスタイルを貫き笑いを獲得していき、そんな神谷を心から尊敬している徳永。ただ夢は遠く、売れたと実感できないまま底辺をうろつく日々を送っていた。
ウケるって何だ、自分って何だ、笑いとは何だ。もがき苦しみながら夢に向かってひたすらに走った10年の物語。


芸人又吉さんの小説をこれまた芸人である板尾創路さんが監督した本作。
もちろん、内輪での盛り上がりや売れない芸人の苦悩など、リアルに体験したからこその脚色などもあるとは思うのですが、正直なところ芸人さんではない監督が撮ったものを見たかったなーと思います。
(私は見ていませんが、どうやらドラマ版では廣木隆一さんが監督されているようなので、そちらの方がもしかして良かったかも)

しかも徳永の見た目は、やっぱり菅田くんが演じているだけあってすごく格好いい。それだけでもすぐに人気者になりそうなのに、映画では今ひとつ爆発した感じもしなかったし、くすぶり具合はそんなに神谷と変わらない印象でした。
キャストにおいては、徳永の相方が二丁拳銃の川谷さんで1人だけやっぱり間合いなどの雰囲気が芸人。もう少し映画としては役者が演じている、ということを前面に出した方がリアリティが出たかもしれません。

面白くないわけではないのだけれど、ちょっと消化不良な感じは否めません。
もしかしてドラマぐらいじっくり描いた方が向いているストーリーなのかなと思えました。
ただ、ラストに向かって感動的な漫才シーンが描かれるのですがこれは秀逸。
芸人だからこそこういう言い方しかできない、という歯がゆさとその逆に清々しさがありました。

芸人にウケる芸、一般的に満遍なくウケのいい芸風、どちらを取るかという厳しい選択を迫られた、お笑い芸人の苦悩がそこにある。そこに答えなどおそらくないけれど、ただただおもろいことがしたい。
目標や自分を見失い、苦しんで探しながら進んでいく。
毎日疲れて元気が出ない、なんていう時に良いじんわりした映画です。

読んでないんだよなー。

火花 (文春文庫)
又吉 直樹
文藝春秋
2017-02-10

 

ドラマ版は林遣都くんが徳永の役ですって。何れにしても格好いい! 

映画「幼な子われらに生まれ」

映画「幼な子われらに生まれ」を観ました。



実の娘を妻に渡し、別の女性と結婚した田中(浅野忠信)。現在の妻(田中麗奈)には2人の連れ子がいて、当初は懐いてくれていたが、長女が難しい年頃になってきた時に妻が妊娠し状況は悪化する。
異動により閑職と言える倉庫係になった田中は、家庭でも安らげる場所を失い徐々にイライラを募らせていく。
自分を失った田中はついに、長女の言葉通りに妻の元夫「本当のお父さん」を探し、会わせてやろうと考えるが・・・


子供に接する「お父さん」の顔をした浅野忠信が、それでも少し違和感を感じさせながら物語は進んでいきます。生活感を感じさせない彼が今回挑んだのはプライベートにリンクするだろうか、「普通の父親」。 
その微妙な違和感そのままに、反抗心をむき出しにする義娘、年に数回しか会えない実の娘、間に挟まれてただ困るだけの妻により不満を溜め込む顔がリアルに描き出されます。
怒りを爆発させながら、彼が挑んだ風穴を開ける行動は果たして吉と出るのか。

家族を捨て、1人気ままに生きる元夫をクドカンが情感たっぷりに演じていて秀逸。最低だけれど、家族という言葉に反応し、ちょっとは格好つけようとする男の悲哀があふれていました。

血の繋がった子供ができたことで、家族のつぎはぎがよりコントラストを持ってそれぞれを揺さぶる。これは現代ではそんなに珍しくないことなのかもしれません。
子供のいない自分には、あんまりリアリティを持って親の気持ちになることは出来ないけれど、家族という集合体の本当の意味を考えるにはいいきっかけになったかなと思います。
 

映画「ユリゴコロ」

映画「ユリゴコロ」を観ました。



沼田まほかるさん同名小説が原作のこちら。小説は読んだことなかったので、内容は分からず観ましたが、非常に気持ちが揺さぶられる問題作だなと思います。


涼介(松坂桃李)は実家から一冊のノートを見つける、そこには女と思われる殺人の告白が綴られていた。
その女、美紗子(吉高由里子)は幼い頃から人と違う感覚に自分で戸惑い、周囲に馴染めずにいた。
医者が言い放った「よりどころ」を「ユリゴコロ」と認識し、自分の中のそれを探す日々。それはやがて、人を殺す、ということで満たされると自覚していく美紗子。
何となく人生を進み、そこで出会う人たちにユリゴコロを追い求める美紗子。終わりのない旅かと思われたところに突然、欲望を失った男(松山ケンイチ)が現れる。男の無償の優しさに惹かれた美紗子はやがて一緒に暮らすことになるが、美紗子は過去に絡め取られ、未来を脅かされることになる。


当初から主人公に共感できず、苦しい時間を過ごしました。
それはそのまま美紗子の生きづらさに繋がっていくのかもしれませんが、彼女そのままに見返りを求めない男に惹かれていきます。
その存在につかの間の幸せを感じた美紗子だったけれど、その平穏は彼女自身ではなく外側からボロボロと崩されていく。それは彼女自身の過去に由来するもので、彼女はその運命の渦からは抜け出せず、またその運命は皮肉な結末をもたらす。

少し偶然が重なりすぎかな、と思われる部分もありましたが、一人の女の人生ストーリーに、心の空虚を抱えた涼介が没頭していく様は狂気のようでいて自然のような、不思議な時間の行き来でした。

内側に抱えた問題をどうすることもできずにただ孤独になるしかない、そんな生きづらさを抱えている人は大なり小なりいるのではないでしょうか。

どこの国とも分からない、美味しいか不味いか判断のつかないフルコースを食べているような感覚で最後まで違和感と戦いながら観ました。
誰と、というよりも一人でひっそりと観たい映画です。 

ユリゴコロ (双葉文庫)
沼田 まほかる
双葉社
2014-01-09



ユリゴコロ
吉高由里子
2018-04-04

 
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