食べ物に関する古書店を営みつつ物書きをする敦子(トンコ)(小泉今日子)。彼女の家には、小料理屋を営む肉食女子美冬(鈴木京香)、編集担当で長らく恋をしていない圭子(沢尻エリカ)、優しくて料理のできる彼氏と同棲中の製作会社AP多実子(前田敦子)が集まり、おいしい食卓を囲み、お酒を飲み、女同士の楽しい宴を催していた。
そこに夫に捨てられた料理オンチのリサ(シャーロットケイフォックス)、夫に出て行かれ途方に暮れるパーツモデルツヤコ(壇蜜)、多実子がよく行くBarで働く珠美(山田優)、そしてそのBarで泥酔してつい男に持ち帰りされてしまうあかり(広瀬アリス)らが絡み、それを取り巻く男たち、食欲と性についての物語がそれぞれに紡がれていく。
とにかくみんな美味しそうに食べる食べる。
それは女たちを至福の顔にさせる手間暇と愛情が込められた素晴らしい料理の数々。
あるものは心を込めて料理を提供し、あるものは自分を料理に見立てて反省をする。
そしてあるものは料理によって捨てられ、食べることで救われる。
これでもか!というくらいの豪華共演陣。
それぞれの物語が細切れで進んでいくので、見飽きることなく進みます。
途中までは、「かもめ食堂」や「めがね」「プール」などを手がけられたスタッフのような匂いがちょっとするなと思っていましたが、小泉今日子扮するトン子のキャラクターが少し突出しすぎていたかな。生活もスタイルも浮世離れしていて、それがもっとうまく生かされると良かったなと思いました。
恋するということと、食べるということ、シンプルですごく単純な欲望のことが様々なキャラクターによって浮かび上がってきて、誰しも思い当たるフシがあるかもしれない。
もしくはこの中だったら誰がいいな、ですとか。
一番可愛く見えたのは、酔った勢いですぐ男の人と「そういうこと」になっちゃうあかり(広瀬アリス)。全体的に許してしまうタイプのあかりは、男の人からいいように振り回されすぐに振られてしまう。その彼女がふらりと現れた男性に作るひき肉料理。手早くパパッと作れて、そんな得意料理を「まるで自分みたい」と言うのだけれど、シンプルにとっても美味しそうだった!!!
毎日の料理に飽き飽きしている人、一人暮らしで味気ない食事をしている人、片手間に見るのにとてもちょうど良い映画です。
劇中で圭子といい雰囲気になる男としてユースケサンタマリアが出てくるのですが、彼がいるのに事件が起こらないってなんだか不思議(笑)途中までは、何か企んでいるんじゃないか・・・と疑心暗鬼に見ていましたが、今回はとても平和で穏やかな料理自慢のサラリーマンでした。
余談ですが・・・トン子が営む古書店に置いてあった、「私の美の世界」。
先日行った恵文社で、同じ著者森茉莉さんの「紅茶と薔薇の日々」を買おうかどうしようか最後まで悩んだのを思い出し、やっぱり買っておいたほうが良かったなと反省。
本も料理も恋も、一期一会のもの。出会いは大切に。